続く新型コロナウイルスの拡大〜これからどうなるのか

医療雑談

新型コロナウイルスのニュースばかりで不安です。
いったい、これからどうなるんでしょうか。

断定はできませんがある程度の予想はできます。
あまり楽観視はできない状況ですね。

連日のように新型コロナウイルスに関する報道が続き、不安を感じながら生活されている方も多いと思います。「新型コロナウイルスは日本でも流行するか?」という記事を1月に書きましたが、残念ながら予想通りになってしまいました。イベントの中止や学校の臨時休校などの対策が行われていますが、感染拡大の勢いはとどまることを知らない状況です。こうした対策には賛否があるようですが、拡大を遅くする効果は間違いなくあると思います。ですが、拡大を完全に止めることはできないでしょう。これだけ感染力の強いウイルスですので、人と人が接触を繰り返しているかぎりは、次から次へと伝染していきます。それでは、今後もずっと新型コロナウイルスに怯えて生活していかなくてはならないのでしょうか。今回のパンデミックの今後の展開について考えてみようと思います。

今回の新型コロナウイルスの大きな特徴の一つは、「今まで誰も感染したことがない」という点です。このウイルスに対する免疫を誰も持っていなかったため、これだけ感染が広がっているわけです。これまでのコロナウイルスは風邪の原因ウイルスとしてありふれた存在でした。コロナウイルスに限らず、風邪の原因となるウイルスが侵入すると、それに対応した抗体という物が体内で作られます。この抗体が働くことで風邪は治癒します。風邪が治った後も抗体は体内で準備状態となっており、同じウイルスが再び入ってきてもすぐに駆逐することができるのです。これを「免疫記憶」といいます。免疫記憶がない初めての感染では、抗体が作られるようになるまで少し時間が掛かります。その間にウイルスが体内で増えて、症状が悪化したり、周囲の人に感染を広めてしまうことになります

ただし、ウイルスが侵入してから抗体が作られるまでの間、人体の感染防御システムは何もしていない訳ではありません。抗体とは別のシステムが、体内でのウイルス拡大を防いでいます。リンパ球の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)が、抗体が作られる前からウイルスと戦っているのです。NK細胞は免疫記憶がなくても素早くウイルスに対応できる番犬のような存在です。怪しい奴が入ってきたらすぐに噛み付くわけです。こうして時間稼ぎをしている間に、ウイルスを駆逐する抗体が作られて病気は治癒します。新型コロナウイルスに感染しても若い人では軽症だったり無症状だったりするのは、このNK細胞の働きが強いためだと思われます。一方で高齢者や糖尿病のある方が重症化しやすい理由は、NK細胞の働きが弱いために、抗体ができるまでウイルスを抑え込むことができないからです余談ですが、このNK細胞は癌細胞も攻撃しますので、この働きが低下した高齢者では癌にかかりやすくなります。

さて、誰も免疫記憶を持っていなかったため、破竹の勢いで世界中に広まった新型コロナウイルスですが、その勢いが永久に続くということはありません。いずれは沈静化してくるはずです。一体それはいつになるのでしょうか。今後の展開としては3つのシナリオが考えられると思います。
①ワクチンが作られて拡大は沈静化する。
②夏にかけて国内ではやや落ち着くが、秋から冬に再び増え始める。
③長期間に渡って拡大を続け、世界中の人が感染する。

①ワクチンが作られて拡大は沈静化する
ワクチンの作成が急がれているはずですが、それがいつになるのかはまだ分かりません。過去の新型インフルエンザのときもけっこう時間がかかりました。ワクチンを大量生産するには時間を要するため、行き渡るのはかなり先になるでしょう。何らかの技術革新でもない限り、最低でも半年以上はかかると思われます。新型インフルエンザのときも、はじめは医療関係者などからワクチンの接種が始まり、一般の方が接種できるようになったのはずっと後でした。上記①のシナリオは、予想以上に早くワクチンが摂取できるようになった場合です。ワクチンを打った人が増えれば、その人がブロックになって感染は広がりにくくなります。

②夏にかけて国内ではやや落ち着くが、秋から冬に再び増え始める
中国で感染が広がったのは真冬でした。多くの風邪ウイルスは寒くて乾燥した環境で広がりやすくなります。もし、この新型コロナウイルスもそういう性質であれば、国内では春から夏になるにつれて感染拡大の勢いは弱まるかもしれません。しかし、いつも温かい東南アジアでも感染者は増えていますので、夏になっても消えること期待できません。一時的に小康状態となっても、秋から冬にかけて再び感染が急拡大するかもしれません。

③長期間に渡って拡大を続け、世界中の人が感染する
残念ながら、このシナリオの可能性がもっとも高いと思われます。多くの人が新型コロナウイルスに感染し、免疫を獲得することで、拡大は収まっていくでしょう。この場合は最低でも半年、おそらくは一年以上に渡って、世界のどこかで集団感染が繰り返されることになります。
皆さんは「麻疹(はしか)」をご存知のことでしょう。現在では乳幼児に予防接種が行われるため、ほとんど発症がなくなりましたが、私が子供の頃はほぼ全員が麻疹の洗礼を受けたものです。子供が麻疹にかかっても、お祖父ちゃんお祖母ちゃんが平気だったのは、みんな子供のときに感染して免疫記憶を持っていたからです。日本中でほぼすべての人が免疫記憶を持っているため、麻疹は大流行しないのです。もしも、誰も麻疹にかかった事がなく、予防接種もしていない国があったとします。ここに麻疹に感染した人が入国したらどうなるでしょう。麻疹ウイルスは感染力が強いことで知られています。その国では麻疹への集団感染を繰り返し、免疫力の低い多数の方が犠牲になるでしょう。これと同じようなことが、地球規模で起こっているのが現在の状況です。

多くの国で外出禁止などの強い対策が行われているようですが、これは感染拡大を遅らせることはできても、撲滅することはできないと思います。ワクチン接種が始まるまでの時間稼ぎなのかもしれませんが、何ヶ月先になるかも分からない状況ですので、いつまでも続けるわけにもいかないでしょう。それに、一国で拡大を封じ込めたとしても、他の国から再び入ってきたら同じことの繰り返しです。一方、病気の発生源である中国では拡大の勢いが衰えてきたと言う報告もあるようです。はっきり言ってどこまで信用できる話か疑問ですが、もし本当だとするとその理由は、多くの中国人は既に新型コロナウイルスに感染しており、免疫を獲得したからという事なのかもしれません。

アステカとインカ帝国はヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘が大流行し弱体化したと言われています。天然痘は強力な感染力を持つウイルスが原因で起こります。ヨーロッパ人は天然痘に対する抗体を持っていましたが、新大陸の人たちは持っていなかったためです。それから500年後の現代社会でも、未知の感染症に対してこんなにも脆弱であったとは新たな驚きです。むしろ、人の移動が盛んな今の世界のほうが危険なのかもしれません。ちなみに、天然痘は人間の力で撲滅した感染症です。新型コロナウイルスも早くそうしてやりたいものです。

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